introduction
IT関連の技術革新は驚くほどのスピードで進み、トレンドは目まぐるしく変化しています。ハイレベルな対応が要求されている時代に、臨機応変に応じることのできない会社が取り残されるのは必至です。また、近年のWeb業界では人材の流動性が高まって経験豊富な人材を獲得しやすくなっていますが、その一方で社員の定着率、平均在職年数は低下しています。加えて、働き方改革やリモートワークの増加などによって労働時間は短縮化し、以前と比べて人的リソースが限られてきているのがWeb制作会社の実情です。このような状況を背景に、どのWeb制作会社でも共通のジレンマを抱えています。会社が成長するほど依頼案件の難度は高くなり、人を増やすほど社内ルールが複雑化して、より高度な組織経営が求められます。
厳しい環境の中で会社の成長を目指すには、「改善するべきこと」と「変えてはいけないこと」を見極め、ビジネスモデルを柔軟に変革、再編成していくことが不可欠です。エムハンドでは、時代の波に乗って継続的な成長を目指すために「制作フロー」をビジネスモデルと捉え、見直しとブラッシュアップを重ねています。
background
制作フローは、レストランでいうところの「レシピ」のようなもので、「品質(クオリティー)を維持」するために有効に働きます。Web制作では基本的に、ディレクター、デザイナー、エンジニアの分業で1つのサイトを作りますが、必ずしも全員がトップクリエイターであるとは限りません。社内には社歴の長いベテランから新人まで多様な社員が存在し、それぞれがエムハンドの看板を背負っています。会社には、誰が制作に関わったとしても同じ品質を維持する責務があるため、再現性の高い制作フローを用意しておくことは不可欠です。
逆に、すべてを一任できるトップクリエイターだけの組織であれば、制作フローの仕組みやルールなどは不用ともいえます。制作フローは「生産性の向上」にも役立ちます。社内でコンセンサスのとれた制作フローがあれば、社員同士の無駄なコミュニケーションや答え合わせが省けて生産性が高まります。また、WEB制作では個々人のクリエイティブ力が非常に重視されますが、制作フローで進捗を明確に管理することで、チーム一体となって制作物の品質向上を狙えます。
制作フローの最適化を図るために、3つの視点をブラッシュアップに取り入れています。
現場の意見を吸い上げ、月1回のペースで改善して制作フローに組み込む「ご意見番制度」という仕組みを設けています。これにより、制作フローの改善を繰り返すという意識と必要性を、社内に根づかせることを大切にしています。
ディレクターが、クライアントからインプットした「要望」をデザイナーに伝え、アウトプット(デザイン)につなげています。インプットとアウトプットが制作フローのなかで整理されて品質が向上します。
プロセスレビューを制作フローに組み込んで、上長や他部門からの指摘をもとに制作物を改善します。制作フローの要所となるポイントで第三者の目線が入ることで、クリエイティブ面のブラッシュアップを行っています。
what we do
エムハンドでは、受注した案件ごとに予算や工数、スケジュール、インプットとアウトプット、
クリエイティブ、品質などをシステム上で一元管理しています。
予算工数管理
社内システムで、勤怠管理、業務管理、予算管理を連動させて全体を管理。制作者(デザイナーやエンジニア)は1日の労働後に作業内容を登録し、管理者は勤怠と業務状況を随時確認します。同時に、案件ごとに紐付けられた案件予算から、適正な工数で進行できているかを管理しています。
スケジュール管理
30名近いディレクターが各自の責任で必要な制作者をアサインし、スケジュールを組んでリアルタイムに進捗管理。スケジュール会議の開催や、誰かの承認を得て工数や担当者を決めるといった無駄なコミュニケーションを省略しています。
案件管理シート
ディレクターからデザイナー、エンジニアに業務が流れていくなかで集約された案件情報(サイトマップ、コンセプト、チェック項目など)を管理。前工程の情報やアウトプットを引き継いで次の制作者が業務にあたり、結果をインプットしてまた次の制作者にバトンを渡すという流れで進行します。
クリエイティブ管理
制作フローのなかにクリエイティブ面について協議する会議を設定。組織全体でクリエイティブを補完しています。
品質管理
200を超えるチェック項目を設けて制作物の品質を管理。デザイン、仮アップ、本アップなどの作業工程の節目に、セルフチェックだけでなく、クオリティコントロールの専任スタッフを入れてWチェックしています。
Structure 02